物理キーボードを備えたBlackBerry KEYoneのレビュー
画面下に物理キーボードを持つ BlackBerry の伝統スタイルを採用した「BlckBerry KEYone BBC100-2」のレビューをお送りします。
KEYone は BlackBerry スマートフォン独特のデザインを採用したスマートフォンなので発売前から話題になっており、リーク回数も非常に多かったと思います。製品は今年 2 月の MWC イベントで発表され、同年 5 月に発売されました。ただ、残念ながら製品の開発と販売は BlackBerry ではなく、中国のスマートフォンメーカー TCL Communication が行っており、純粋な BlackBerry スマートフォンだとは言えません。それでも、TCL は BlackBerry のライセンスを公式に受けて KEYone を開発し、また、BlackBerry が開発した独自アプリやセキュリティ機能にフル対応しているので、この点についての批判は出ないと思います。
KEYone には対応する通信方式や周波数帯によって 6 モデル存在し、今回はその中でも GSM / WCDMA / LTE に対応したグローバルモデル「BBB100-2」を扱っています。日本では BBB100-6 が発売されており、中国ではデュアル SIM 対応の
BBB100-4、米国では CDMA に対応した BBB100-3、さらに、今月に入りデュアル SIM で 4GB RAM + 64GB ROM の上位版 Black Edition(BBB100-7)も発売されています。
KEYone の特徴はなんと言っても BlackBerry 伝統の外観を再現したデザインです。現代のスマートフォンの大半はフルタッチパネルのフォームファクターを採用しているので KEYone のフォームファクターには少し違和感を覚える方も多いと思うので本記事では操作性を重点的に紹介していきたいと思います。
KEYone は Android 7.1.1 Nougat を搭載したミッドレンジクラスのスマートフォンで、Google Play にも対応しています。BlackBerry Passport Silver Edition を彷彿させるデザインは近未来的な感じで、個人的に好感を持っています。
外装は主にメタル調のプラシチック素材で出来ており、背面カバーはラバー質感のあるテクスチャーパターンのものが使用されています。後述するキーボードの各キーには作りの甘さを若干感じますが、全体的には高い完成度を実現しているように見ます。
下部にはシングルスピーカーと USB Type-C コネクタがあります。
ボタンは右側面にボリュームボタンと便利キーがあり、ここには SIM トレイ + Micro SD カードトレイのスロットが一つ設けられています。
KEYone の第一印象は、「うっ、けっこう重たい・・・、けど、なかなか手にしっくり来る」というものでした。筐体サイズは 149.3 x 72.5 x 9.4mm とおおよそ 5.2 インチスマートフォン並み。しかし、質量は 180g もあるので確かに重たいと感じるはずです。
しかし、大きく丸みを帯びたメタルフレームが手によくフィットし、片手での操作性は思いのほか良好でした。また、KEYone 独特のフォームファクターのおかげで、画面が上の方に位置するので、大半の操作時間を占めるタッチパネル利用の際にフルタッチタイプなら下の方に指を動かす必要が殆どないので意外と操作しやすいと感じました。
KEYone には画面の下にキーボードがあるので、比較的小さいサイズのディスプレイを採用しています。サイズは 4.5 インチで、5.5 インチの ZenFone 4 と比較すると表示サイズは明らかに小さい。4.5 インチというディスプレイサイズは現代のスマートフォンの中ではかなり小さいと言えます。このサイズが示すようにアプリの表示は小さく、視力の悪い私にとっては多少の見づらさを感じますが、Android 7.1.1 にはフォントサイズと表示サイズを大きくする機能があるので、これらのサイズを最大付近に変更すれば多少見やすくなり、普段使っていて特に支障をきたすことはありませんでした。
ナビゲーションボタンはタッチセンサー式を採用しており、ディスプレイとキーボードの中間に配置されています。領域が狭いので、使い始めてかなり時間が経ちますが、依然としてミスタッチを連発します。オンスクリーンボタンにして欲しいかったなと強く思います。
写真をご覧の通り、KEYoen には物理キーボードが搭載されています。そのため、端末を横向きで操作するアプリの場合、キーボードが指の邪魔になることもあります。動画の視聴やカメラ撮影で邪魔だとは思いませんでしたが、ゲームアプリだと使いづらいと思うはずです。なので、ゲームを頻繁にされる方は KEYone を購入する際にこの点を十分吟味すべきでしょう。
キーボードの使い心地について。KEYone の特徴でもある物理キーボードは PRIV と同じ配列で、キー上をスワイプするだけで上下左右にスクロールするタッチパッド機能やキーごとに実行するアプリやアクションを割り当てられるなど、機能面においても PRIV との違いはありません。PRIV と違って KEYone の場合は常にキーボードにアクセスできるので、スワイプやキーのショートカットは使いやすくなったと言えます。キーはクリアな素材に変わっているので外観と触れた際の感触が若干変わっています。
注目なのはスペースキーにタッチ式の指紋リーダーが付いたことです。スペースキーに指を置くだけで指紋認証のロック画面を解除したり、アプリによっては起動する際に指紋認証で保護できるようになっています。指紋リーダーの搭載は大歓迎の改良点だと言えますが、スペースキー自体の作りが甘く(グラつく)、違和感を覚えます。残念です。
それでは KEYone の中身に移りましょう。
前述の通り、KEYone はミッドレンジクラスのスペックを備えた機種で、プロセッサは Snapdragon 625 2.0GHz オクタコア。メモリは 3GB RAM + 32GB ROM という構成です。開封した直後の動作は非常に滑らかで満足していましたが、1 週間も使うとアプリが増えたこともあってか、性能が時間の経過と共に劣化していくように感じました。これは PRIV でも体験することなので、PRIV ユーザーさんは身をもって体験していると思います。キャッシュを定期的に削除するなどのメンテナンスが必要になってきます。
BlackBerry は自社のアプリを Google Play ストアを通じて配信しているため、KEYone でもほぼ全ての BB アプリを利用できます。機能面は過去の PRIV や DTEK とほぼ変わらない内容だと言えます。
ただ、KEYone にホームボタンをスワイプアップした際のショートカット機能は無く、一部の機能は削られています。もちろん、BBM や DTEK、BB Hub、生産性タブ、BlackBerry ランチャーなど、多くの機能は健在です。
OS は Android 7.1.1 Nougat で、独自アプリ以外の部分は基本的に素の Android に近い内容となっています。
KEYone はミッドレンジモデルですが、カメラは歴代の BlackBerry スマートフォンの中で最高スペックです。背面に 1,200 万画素(IMX378 1.55μm、F/2.0)、前面に 800 万画素カメラ(1.125μm、84 度 F/2.2 レンズ)を搭載しています。特にリアのカメラモジュールは Google Pixel と同じなので、画質にはかなり期待できます。
最後になりましたが、KEYone のバッテリー周りを紹介します。KEYone は 3,505mAh という 4/.5 インチの小さなディスプレイの割に大きなバッテリを搭載しています。3.500AmAh 前後の容量は大に 5.7 インチ前後の端末で採用されるので、スペックを見ただけで明らかに長時間使用できると期待できます。
実際に使ってテストしたところ、その期待は裏切りませんでした。テストは日中を外で過ごし、KEYone をメインマシンとしてずっと使用した時にどれだけ持つのかを測ったという内容です。バッテリーの使用履歴をご覧になると丸一日持続したことを確認できます。画面点灯時間が 4 時間 37 分だったので、しっかりと端末を使ったことを意味します。丸一日の中には睡眠時間も含みますが、睡眠中にはたった 3% しか消費しておらず、いかにバッテリー容量が大きいのかを伺いしることができます。バッテリー性能はかなり優秀で、充電を忘れがちな多忙な社会人にはおすすめの一台です。
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