4K対応でとても扱いやすい業務用ビデオカメラ「Canon XA40」のレビュー

投稿日時 5月 16th, 2019 by juggly 投稿カテゴリ » ピックアップ記事, ブログ
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今年 4 月にキヤノンから発売された小型軽量の業務用デジタルビデオカメラ「Canon XA40」のレビューをお送りします。

XA40 は、キヤノンの業務用ビデオカメラの中でも小型軽量で、よくハンディとして採用されている「XA シリーズ」の最新モデルです。XA ラインの中で初めて 4K@30fps 録画に対応したのが大きな特徴となっています。XA40 と同時には SDI 出力を備えた XA45 や 1 型イメージセンサーを搭載した XA50 / XA55 も発表されていますが、XA40 はこれら 4 機種の中で最も値段の安いスタンダードモデルとなります。

「業務用」と聞くとテレビ局のカメラマン等が担いで撮影する大きなビデオカメラを想像しますが、XA40 がターゲットにしている利用シーンは、取材現場やドキュメンタリー、イベントなどの機動性が重視される場面なので、それは家庭用のビデオカメラと比較すれば少し大きなサイズですが、片手で構えても手や腕が痛くなるほどの負担はかかりませんし、どちらかといえば家庭用ビデオカメラと殆ど同じ感覚で使うことができます。

XA40 のサイズ感は上の写真を見ると分かります。重さは 730g と立派なデジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼のボディ単体と変わらない程度です。もちろん XA40 にはふかふかでしっかりとしたハンドグリップが付いているので、撮影時のグリップ感は一眼カメラの比ではありません。

一眼カメラで動画を撮影している方の参考になればと、XA40 の筐体サイズをフルサイズ機「EOS R」と比較してみました。

それでは XA40 の中身を見ていきます。まずはイメージセンサーやレンズといった主要部分からです。

XA40 は業務用途ビデオカメラとなっていますが、イメージング機能のスペックは家庭用ビデオカメラの上位機種並みと判断して問題ありません。イメージセンサーは 1/2.3 型 829 万画素の CMOS で、レンズの焦点距離は 35mm 判換算で 29.3 ~ 601mm となっています(4K モード時)。カメラの標準状態ではあまり広角での撮影はできませんが、別売のワイドアングルレンズを取り付ければ更に広角で撮影することもできます。フィルター径は 58mm で、標準でシャッター付きのレンズフードが付属します。

一般的にビデオカメラのイメージセンサーは一眼カメラと比較して小さいことから、被写体の背景等があまりボケません。それでも XA40 のレンズは開放 F1.8-2.8 と明るいこともあり簡単にボケます。

重要な映像画質については次の動画をご覧ください。このサンプル動画はシャッタースピード優先 AE モードにして 4K 撮影しました。例えば、鳥を映したシーンでは羽毛までしっかりと捉えており、少し映画のような質感があります。一眼動画を画質を比較すれば解像感に欠ける気もしますが、3~4 万円の安い家庭用ビデオカメラと比較すれば画質には雲泥の差があると思います。

ビデオカメラで気になるのは手ブレ補正の性能だと思います。XA40 は光学式 + 電子式の手ブレ補正に対応しており、利きは「スタンダード」、「ダイナミック」、「パワード IS」の 3 つから選択できます。「ダイナミック」は歩きながらの撮影でよりカメラブレを抑えるモードです。このモードにすると GoPro までとはいきませんが、手ブレはもちろん、カメラブレもかなり抑えることができます。その代わり、ズーム可能な焦点距離が短くなったり、レンズそのままの画角を維持できないなどの弊害もあります。

「パワード IS」とは、カメラの向きを固定した状態であれば望遠撮影時に手ブレ補正の利きをさらに強めるモードです。パナソニック製品だと「手ブレロック」と同じです。パワード IS は「スタンダード」や「ダイナミック」等のモード設定に寄らず一時的にまたは常時有効にすることができます。このパワード IS はカスタムボタンに ON / OFF 機能を割り当てることで使用できるようになります。

上記の他、4K 撮影時のビットレートは 150Mbps と 4K ビデオカメラの中では多くの情報量で撮影することができ、フル HD 撮影時には 4K の全画素を使用するオーバーサンプリングで記録する為、画質を家庭用ビデオカメラと比較すると、やはり XA40 の映像の方が描画力に優れているという印象を持ちました。

XA40 のカラーサンプリングは 8bit で、LOG収録には対応していません。また、HLG や PQ 等の HDR フォーマットで撮影することもできませんが、暗部の明るさを強制的に引き上げる「矯正逆光補正」が備わっており、逆光時でも被写体をしっかりと捉えることができます。

XA40 において HDMI 出力時の解像度は最大 1080p ですが、HDMI 出力時に限り 10bit での収録が可能です。

カメラスペックを見る限り、XA40 はプロ仕様のビデオカメラではありませんが、家庭用のビデオカメラには無い機能を多く備えており、そうした部分が業務用に分類されている所以だと思います。

それは例えば、レンズ近くのリングを回すことでズームとフォーカスを調節できる機能、ハイスピードズーム機能、リニア PCM 4ch でのオーディオ記録、ズームとフォーカスのスピード調節といった部分です。

業務用たる所以は他にもあります。別売ですがハンドルユニット「HDU-1」との互換性を有しており、カメラの持ち方の自由度が高く、例えばローアングル撮影も容易にできます。

また、SD カードスロットを 2 つ備えており、バックアップ用に同じ映像を同時に記録することや、片方の SD カードがフルになると自動的にもう一方の SD カードに記録先を変更して記録を継続させることもできます。ちなみに XA40 は 30 分を超えて撮影することができます。

さらには、6 つのカスタムボタンと 1 セットのカスタムダイヤルを搭載しており、例えば、AF と MF の切り替え、「パワード IS」、「強制逆光補正」、(ホワイトバランス調節用の)グレーカードを読み込む機能を物理ボタンや画面ボタンに割り当てることができます。このカスタムボタンは撮影中によく利用する機能をワンタッチで実行できるのでホントに便利です。

▲ 液晶左に 2 つカスタムボタン

▲ バッテリーの左に 2 つ、左側面に 1 つ

▲ 画面愛に 1 つ(Photo の部分です。)

▲ カスタムダイヤルは液晶の付け根付近にあります。

XA40 にどんな機能があるのは設定メニューの中身や撮影画面を紹介した次の動画で確認できます。

最後に、XA40 の価格は Amazon.co.jp だと 149,688 円で、キヤノンオンラインストアだと 166,320 円もします。また、現在販売中のパッケージには購入特典として予備バッテリー(BP-820)が無料で付いてきます。

XA40 は業務用製品なので価格を論評したところであまり意味はないと思いますが、あらゆるシーンを一眼カメラで撮影しようとするとカメラボディだけでなくレンズにも拘るようになりますし、望遠で撮影しようとすれば高価な望遠レンズが欲しくなってしまいます。そうなるとかかるコストは 20~30 万円をゆうに超えます。それを考えれば XA40 のように少し性能の高いビデオカメラでは動画撮影にかかるコストを大幅に下げることができ、サイズもコンパクト。手ブレ補正はよく利きますし、満足度は高いかもしれません(画質をある程度妥協できればの話ですが・・・)。

Source : Amazon.co.jp