Galaxyスマホの月面写真に対する捏造疑惑が再燃
スマホは、物理的な筐体内のスペースが限られているためにカメラのイメージセンサーは小さく、また焦点距離の長い望遠レンズも積めません。その代わり、多くのスマホメーカーは超解像ズームを導入したり、AI による被写体認識と画質補正機能を積極に取り入れスマホ写真の画質向上努めています。そのような状況の中で、再度、スマホで撮影した月面写真が捏造だという議論が湧き上がってきました。
事の発端は、とある有名ユーチューバーが Galaxy S21 Ultra で撮影された月面写真を AI トリックを利用した捏造写真だと主張したことに始まり、それを否定するブロガーが登場すれば、今度はそのブロガーの主張を否定する検証レポートを Reddit ユーザーが公開し議論が再燃しました。
議論の中心は、Galaxy スマホのカメラアプリに備わっている「シーンオプティマイザー」
が本来は存在しないテクスチャーを被写体上に合成しているのか否かです。今回の場合、Galaxy スマホの 100 倍ズームで撮影された月面写真があまりにも鮮明過ぎたため、AI が月の表面にクレーターや凹凸などを合成しているのではないかと疑われています。
Reddit ユーザーはネットで拾った鮮明な月の写真を用いて月の撮影環境を再現し、あえて画質を劣化させた月の写真にテクスチャーが合成されたことを確認したと主張しています。
Samsung 自身は、「写真を撮影する際に画像のオーバーレイやテクスチャ効果は適用されません。それはシーンオプティマイザーによってオブジェクト検出が混乱した場合に、同様のオブジェクトが同じテクスチャパターンを共有される原因となるためです」と述べ、捏造疑惑を否定しています。
シーンオプティマイザーは、被写体を認識し、露出・コントラスト・色合いを補正して被写体がより良く見えるように自動補正する機能です。シーンオプティマインザーに見られる画像処理は一般的な写真編集の現場でもよく利用される手法なのでこの機能自体は悪ではありません。この機能によって強調された部分が偶然にも実際の月面のように見えたことが捏造疑惑に発展したのかも知れません。
ちなみに、次の月面写真は手持ちの Nikon Coolpix P950 で撮影したものです。レンズ焦点距離は Galaxy スマホの 100 倍ズームに近い約 2,000mm。比較すると、P950 で撮影した写真の方が明らかに鮮明なので、Galaxy スマホの月面写真は AI による合成ではないと思います。もし、テクスチャーをオーバーレイするなどして合成しているのなら、P950 で撮影した写真程度には細部が鮮明に写っているはずです。
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