スポーツ指向のスマートウォッチ「Gear Sport」のレビュー

投稿日時 12月 11th, 2017 by juggly 投稿カテゴリ » Androidニュース, ピックアップ記事, ブログ
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Samsung が今年 10 月に海外で発売した Tizenn 搭載スマートウォッチ「Gear Sport(SM-R600)」のレビューをお送りします。

Gear Sport は Samsung の Gear スマートウォッチの中でもスポーツ指向の製品なのですが、デザインは腕時計で一般的な円型フォルムなので普段使いのスマートウォッチとしても十分に使えます。厚さ 11.6mm のスリムなボディは 5 気圧防水と MIL-STD-810G の試験をクリアするほどの耐久性を備えており、陸上トレーニングだけではなく、プールでの利用や競泳トレーニングにも利用できます。Gear Sport ではそのための機能も充実しています。

Gear Sport の基本機能としては腕時計としての役割のほかに、スマートフォンの通知や着信、メッセージへの対応といったスマートフォンとの連携、アクティビティトラッカー、運動や睡眠のトラッキング、Gear アプリの利用です。

ファームウェアには Tizen 3.0 の新システムが使用されており、Gear VR のハンドコントローラーとして機能するだけではなく、Smart Connect のデバイスに追加して Samsung SmartThings に対応したスマート家電をコントロールできます。機能的には Gear S3 シリーズを上回っています。

数多くのアプリが利用でき汎用性の高い Android Wear に比べ、Gear Sport のアプリ数は少ないものの、Apple 製品と同様にソフトとハードを自前で開発しているアドバンテージによって Gear Sport はスマートウォッチとして優れた利便性を発揮し、かなり使いやすい製品に仕上がっています。

Android Wear はメーカー、デザイン、価格帯、用途に応じて多数の機種が開発されているので、製品を選びたい方は Android Wear をおすすめしますが、スマートウォッチの基本機能があれば十分で、Gear Sport のデザインを気に入る場合には Gear Sport をおすすめします。

その Gear Sport の使いやすさを支えているのが Gear シリーズを象徴する回転ベゼルです。程よい抵抗と滑らかさを両立した回転ベゼルではウォッチフェイスの移動、メニューのスクロール、ウェイクアップジェスチャーなど大半の操作を行うことができます。ガラケーのジョグダイヤルのように滑らかで、尚且つきっちりとメニューにフォーカスできます。回転ベゼルのおかげで小さなタッチスクリーンに触れずに大抵の操作が可能なので、Android Wear よりも全体的にスムーズな使用感です。

Gear Sport のデザインはこちらの記事で詳しく紹介していますが、改めて紹介することにしましょう。

Gear Sport の本体はステンレス素材を使用した完成度の高い仕上がりで、5 気圧防水に対応しておりプールでの使用も可能です。回転ベゼルの他、本体の右側には 2 つのボタンがあり、上側のボタンは「戻る」や Samsung Pay の起動、下側のボタンはアプリランチャーボタンとなっており、特定のアプリをダイレクトに起動できるカスタムボタンとしても使用できます。

リストバンドは発汗や水中での使用に適したシリコン存在で、比較的柔らかくて付け心地は良好です。シリコンバンドのおかげで Gear Sport は素晴らしいフィット感を提供しています。Gear Sport のラグは 20mm バンドをサポートしているので別のリストバンドを取り付けることもできます。レザーバンドやメタルバンドにすると、カジュアルやフォーマルなファッションにも合わせやすいでしょう。

Gear Sport のホーム画面は時刻を示すウォッチフェイスを中心に、左右に通知とカスタマイズ可能なウィジェットパネルで構成されており、ベゼルを回転させてパネル間を移動します。これが Gear Sport における基本動作です。表示を確認するだけならタッチパネルに触れる必要はありません。

スマートウォッチの機能の中でも重要なスマートフォンの通知はウォッチフェイスの左に一つずつのパネルとして表示されます。他のパネルと同様に、ベゼルを回すだけで通知間も移動できます。メッセージへの返信や通知の消去などには画面に触れる必要があります。

ホーム画面のパネルは自分でカスタマイズできます。開封直後には、ウォッチフェイス、心拍数、歩数、消費カロリー、天気のパネル、音楽プレイヤーがセットされていますが、別途、アラームやカレンダー、ニュースリーダーなどをセットすることもできます。

アプリランチャーはベゼルでの操作に適したサークル形状です。ウォッチフェイスやアプリはいくつかプリインストールされていますが、「Galaxy Apps」で別のものをダウンロードし追加することもできます。

Gear Sport の特徴の一つは様々な便利機能を備えている点です。これは、ソフトとハードを一手に開発することで成し得ているのだと思います。

例えば「ウォーターロックモード」を使えば、タッチスクリーンを無効にして水泳中の誤タッチを防止します。逆に、タッチ感度を上げる設定にすると、手袋をしたままでも画面をタッチ操作できるようになります。

また「省電力モード」を ON にすると、画面の表示をグレースケールに変え、実行するアプリや機能を制限することによって、バッテリーの消費を大幅に抑制できます。

他にも、ベゼルやタッチ、振り上げによるウェイクアップジェスチャー、通知タイプごとのバイブレーションパターンのカスタマイズ、アプリの自動起動設定なども可能です。

Gear Sport が本領を発揮するトレーニング機能をご紹介しましょう。Gear Sport には、モーションセンサー、GPS、光学式の心拍センサー、気圧高度計が内蔵されており、これらのセンサーのおかげで実に多彩なアクティビティに対応できます。ただランニング系のトレーニングはやはり Polar M600 の方がより高度な分析を行えるので、その点においては他社の製品に負ける部分もあります。

有酸素運動系トレーニングの代表格であるランニング、サイクリング、ウォーキングは GPS によるトラッキング、心拍センサーによるリアルタイムの心拍数の表示と心拍ゾーンによる分析が可能です。もちろん、ラップ、消費カロリー、昇降段数、高度変化、累積昇降高度も記録可能なので、一般的な GPS ウォッチと遜色のないトラッキング機能を持っていると言えます。

冒頭でも述べたように、Gear Sport は水泳トレーニングにも対応しています。それは 5 気圧防水やウォーターロックモードを備えるだけではく、プールの長さを登録したり、本数を自動的に記録したり、ストロークの種類を判別してストローク回数を計測したり、本数ごとのラップタイムやトレーニング全体での最高ラップを記録し確認することができます。スマートウォッチの中では最も競泳トレーニングに適した製品だと評価できます。

Gear Sport は室内トレーニングでの機能も充実しています。モーションセンサーと心拍センサーによって、ヨガ、エアロビ、筋トレなどの様々なエクササイズにおいて運動時間、心拍数、消費カロリーを記録します。

Gear Sport は身につけるだけで日常生活における活動量を記録し、途中で軽くランニングした場合でもそれを自動的に検出してランニングとして記録するなど、インテリジェントな機能も有しています。また睡眠も自動的に記録するだけではなく、アラームをセットしている場合ならユーザーの睡眠サイクルに合わせてアラーム時刻も自動的に調節します。

Gear Sport を使って屋外トレーニングをしている時に気づいたのは、ディスプレイが非常に明るく晴天時でも見やすいことです。また明るさの自動調節機能も秀逸で、どのような環境でも適した明るさに調節します。それは、私がこれまでに一度も明るさを手動モードに変更しなかったことでもお分かりいただけるでしょう。

バッテリーの持ちについては、2 日に一度充電すれば OK というものでした。長持ちだと思います。私はいつも一日おきにお風呂に入るタイミングで Gear Sport を充電させていて、風呂から上がって落ち着いた頃にはもう満タンになっているという感じでした(お風呂には毎日入っていますよ)。