国内で利用できるAndroid Payの決済機能がなぜFeliCaだけなのかを考察してみる
本記事では、Android 向けのモバイル決済サービス「Android Pay」の決済機能について、国内と海外で大きく内容が異なる点を解説します。
2016 年 12 月中旬から日本でも Android Pay が始まり、現時点では Android 4.4 以降のスマートフォンのうち、Felica(おサイフケータイ)に対応した機種において楽天 Edy による電子マネー決済を利用できます。
しかし、海外でスタートした Android Pay のメイン機能はクレジットカードやデビットカードによる NFC 決済です。現状、日本で海外のようなカード決済は利用できません。Google はこのことについて謝罪し、Nexus ユーザーに 600 円分のクーポンを進呈しています。
これはおそらく FeliCa が国内で利用できる非接触決済サービスの大部分を占めているからなのでしょう。楽天 Edy もその一つで、海外では一般的な NFC(Type-A / B)の決済には対応していません。
国内における非接触決済の対応情報を考慮すると、国内で NFC ベースの決済を利用できないことは納得のいく話なのですが、非接触決済にはいくつか種類があり、NFC と FeliCa が混同して伝わる場合もあるので、規格的な部分にあまり詳しくない方にとっては、Google スマートフォンの Nexus ですら Android Pay による決済ができないことは、あり得ない状況だと思うでしょう。状況的には Apple Pay と同じで、Apple は FeliCa が使えるように国内モデルを独自仕様で販売しています。
サービスに話を移すと、Android Pay ではまだ「楽天 Edy」しか決済に利用できません。サービス開始時点では Apple Pay のように多くのサービスをサポートすべき、Google ならできるはずだと思っている方も多いでしょう。一応、Android Pay は今後、対応サービスを順次拡大する予定です。
現時点で楽天 Edy しか利用できない理由は分かりませんが、おそらく、契約がらみだと個人的には推測しています。それは、Apple Pay がユーザー数の多い楽天 Edy をサポートしていない中で Android Pay がサポートするのはユーザーの囲い込みや乗り換えの促進につながるからです。こうした観点で考えると、楽天側が Android Pay での対応を可能にする条件として、独占的な利用を課したのではないかと邪推しています。
対応機種や対応サービスのこともあってか、Google Play ストアのアプリページには国内ユーザーからの批判が殺到しています。レビュー欄は様々な意見のコメントで大荒れの様子。
対応機種については、店舗の読み取りリーダーの問題があるので、もし Google が NFC でも決済できるよう国内向けの Android Pay をアップデートしたとしても、おそらく、利用できるのはごくわずかで、批判を解消するようなことにはなりません。
そもそも、Android Pay は Apple Pay と同じで NFC 決済が主流の海外で発祥したサービスです。国内と海外で非接触決済の状況が全く異なるのはこれまで述べた通りで、サービスをおサイフケータイの文化に合わせてカスタマイズしているので、個人的な見方としては、Google はよく Android Pay を FeliCa に対応させたよなぁと関心しています。
また、一番の問題は国内における FeliCa 以外の非接触決済サービスが未発達なことで、Android Pay を日本で提供するにはこういう方法しかなかったのだろうと思う次第であります。誰の責任でもありません。
こうした批判にいつもは無反応な Google が Nexus ユーザーに謝罪しているくらいなので、もしかすると、Pixel が国内で発売される際には FeliCa に対応させてくるのでは? 結果的に見れば、Android Pay の国内提供は、クレームなどの批判殺到で逆効果だったと言えるような状況です。
Android Pay は今後、Suica や Icoca などの交通系電子マネーに対応する見込みです。また、Google は三菱東京 UFJ 銀行、Visa、Mastercard とも Androi Pay で協業しているので、今後、サービスの拡充が行われると、多くの端末で Android Pay の決済を利用できるようになると予想されます。
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