コラム : 最近増えてきた「デュアルSIMスマートフォン」とはなんぞや? そのメリットは?
SIM ロックフリースマートフォンの普及に伴い国内でも複数の SIM カードを挿して使える「デュアル SIM」のスマートフォンが増えてきました。海外では GSM サービスが提供されていることもあって、デュアル SIM スマートフォンはポピュラーなのですが、国内で広まり出したのはこの 2 ~ 3 年といったところです。この記事では、デュアル SIM スマートフォンにどのようなメリットがあるのかを実例を交えながら紹介します。
デュアル SIM スマートフォンには異なるキャリア、異なるプランの SIM カードを 2 枚挿すことができ、一台のスマートフォンでそれぞれの SIM カードの電話やパケット通信を行うことができます。
しかし、デュアル SIM の機能にはチップセットの対応によっていくつかの対応パターンがあります。古くからあるデュアル SIM スマートフォンのほとんどは、GSM と GSM、GSM と WCDMA の組み合わせしか同時に待ち受けることができないので、GSM サービスが提供されていない日本では、こうした端末はデュアル SIM の恩恵をフルに受けることはありません。せいぜい SIM カードを差し替えることなく切り替えられる程度です。
ところが、ZenFone 3 や Xperia XZ、Huawei Mate 9 などのごく最近のデュアル SIM スマートフォンは WCDMA と WCDMA や WCDMA と LTE の同時利用にも対応しているので、こういった端末は 2 枚の SIM カードで待ち受けることも可能です。例えば、ドコモとソフトバンクの SIM カードを挿し、それぞれの電話番号で待ち受けることができるということになります。
このタイプの新しいデュアル SIM スマートフォンには au VoLTE が利用できる機種とそうではない機種があります。au VoLTE に対応している場合はドコモまたはソフトバンク SIM カードと KDDI の SIM カードでそれぞれの電話番号で待ち受けることもできます。この場合、ドコモまたはソフトバンクの SIM カード WCDMA、KDDI は au VoLTE で待ち受けることになりますので、ドコモの SIM カードで LTE は利用できません。
この記事では、au VoLTE にも対応した Redmi 4 を使い設定可能なデュアル SIM の構成を紹介します。Redmi 4 は、GSM と GSM、GSM と WCDMA、GSM と LTE、WCDMA と WCDMA、WCDMA と LTE の組み合わせで同時待受が可能なので、仕様的には NTT ドコモとソフトバンク、NTT ドコモ x2、ソフトバンク x2、NTT ドコモと KDDI、ソフトバンクと KDDI の組み合わせで通話を待ち受けることができます(ソフトバンクの SIM カードではテストしていませんのでご注意ください)。
パケット通信についてはいずれの場合でも、どちらかの SIM カードのパケット通信を利用する形になるので、基本的には、両方のキャリアの電波を束ねて通信速度や冗長性を高めたりする、ボンディング / チーミングといったことはできません。
デュアル SIM の用途には、大きく分けて次の 3 つの用途が考えられます。
1 : 国内において個人の携帯番号と会社 / 仕事の携帯番号を一台で同時待受したい。
2 : 通話のメイン回線はドコモ / ソフトバンクを利用して、パケット通信は格安 SIM・MVNO の低価格プランを利用したい。
3 : 海外で現地の SIM カードを調達し安価に運用しつつもローミングを利用して一台で国内との電話できるようにしたい。
ここで挙げたことへの需要がある場合にはデュアル SIM スマートフォンをおすすめします。しかし、それぞれのキャリアの電波を処理するため、シングル SIM スマートフォンと比較的してバッテリー消費は大きくなります。
最後に、現行のデュアル SIM スマートフォンの多くは LTE と LTE の組み合わせが有効にならない(私が把握していないだけで、実際には可能な機種が存在するのかも)ので、KDDI の SIM カードを 2 枚挿してそれぞれ au VoLTE で電話を待ち受けることはできません。
参考までに、デュアル SIM スマートフォンには、デュアル SIM・デュアルスタンバイとデュアル SIM・デュアルアクティブの 2 通りのモードがあります。この違いはこちらの記事で説明しています。
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