ベゼルレススマホ「Essential Phone PH-1」のレビュー
米国のスマートフォンメーカー Essential Products 社の第一弾スマートフォン「Essential Phone PH-1」のレビューをお送りします。
Android に詳しい方ならよくご存知のことだと思いますが、Essential 社は Android の父として有名な元 Google の Andy Rubin 氏が代表を務めるスマートフォン開発のベンチャー企業です。Andy Rubin 氏が作ったと言える Essential Phone は、その奇抜なデザインに対して人々から注目を集めています。
Essential Phone の大きな特徴は前面のほぼ全体をディスプレイで覆った “ベゼルレス” デザインです。また、ディスプレイは 5.7 インチと大きいながらも、ベゼルレスデザインのために縦 141.5mm x 71.1mm x 7.8mm とコンパクトでスリム。5 インチスマートフォンと大差ないサイズ感です。実際に Google Pixel と並べてみても大きさはほぼ同じでした。
Essential Phone は背面にマグネットで外付けパーツを取り付けられる MotoMods のような機構もあり、360 カメラやワイヤレス充電モジュールを外付けすることができます。このモジュラーデザインも Essential Phone の特徴の一つです。
Essential Phone は現代のスマートフォンの中でもトップレベルのスペックを搭載しています。具体的には 5.7 インチ 2,560 x 1,312 ピクセルの LCD、Snapdragon 835 2.35GHz オクタコアプロセッサ、4GB RAM、128GB ROM、背面に 1,300 万画素のダブルレンズカメラ(F1.85)、800 万画素カメラ、3,040mAh バッテリーを搭載し、Wi-Fi a/b/g/n/ac、Bluetooth 5、NFC に対応しています。
個人的にはワイヤレス通信機能の面でも Essential Phone は他の機種よりもサポートバンドが多い点で優れていると思います。
対応周波数は、GSM(850/900/1800/1900MHz)、WCDMA(1/2/4/5/6/8)、CDMA EV-DO Rev. A(BC0/1/10)、FDD-LTE(1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/20/21/25/26/28/29/30/66)、TDD-LTE(38/39/40/41/42/43)、TD-SCDMA(34/39)に対応しています。
Essential Phone は米国の 4 大キャリアを完全にフルサポートしているだけではなく、国内の FOMA プラスエリアもサポートするなど魅力的なバンドサポートです。実機で試すと UQ mobile の au VoLTE も使用できました。
Nextbit Robin のように、パッケージはしっかりと作られており上質な印象です。同梱品は PH-1 本体、ナイロンタイプの Type-C ケーブル、Type-C 仕様の USB チャージャー、Type-C – 3.5mm の変換アダプタ、SIM ピンです。
Essential Phone のデザイン
筐体は全体的に Xperia のようにフラットでシンプル。しかし、外装のフレームには軽量ながらも強靭なチタン合金を使用し、バックカバーにはセラミック素材を使用するなど、見た目では分かりませんが素材に拘っています。
外装の表面は艷やかな光沢を放ち、ベゼルレスデザインと相まってシンプルながらも高級感の漂う出で立ちです。全体的に完成度は高いと思いますが、質量は 185g もあるのでけっこう重量感を感じます。落とさないようにと慎重に使っている状況です。
ディスプレイのコーナー部分は丸くカットされており、若干オシャレな印象を受けます。
注目すべきはディスプレイにフロントカメラを埋め込んだように見える点です。このデザインを最初に見た時は、「邪魔」じゃね?」と思いましたが、基本的にディスプレイの上部はステータスバーや通知パネルの上部分しか表示されないので、アプリの使用に大きな影響は与えません。それよりも、普通のスマートフォンと同じようにフロントカメラを使用できるメリットの方が重要だと言えます。
もちろん、Google マップやホームアプリなどの一部のアプリはフルスクリーンモードに対応しており、その場合、フロントカメラもアプリのコンテンツは干渉しますが、写真をご覧の通り、アプリの使用にはさほど影響しません。
動画は基本的に 16:9 のアスペクト比を採用しているので、Essential Phone 上でフルスクリーン再生しても左右まで映像が広がることはありません。
ここで、なぜ Essential Phone が 2,560 x 1,312 という微妙な解像度を採用しているのかが解りました。完全な
WQHD にしてしまうと、フロントカメラの部分にまでアプリの表示が及んでしまい見づらくなるからなのでしょう。解像度を犠牲にしたため Essential Phone では YouTube の 1440p オプションを選択できず、1080p 止まりとなっています。
Essential Phone の SIM スロットは下部にあります。珍しいですよね。また、3.5mm オーディオジャックは搭載しておらず、USB Type-C 仕様のイヤホンか、同梱のアダプタを使用します。
右側面にはボリュームボタンと電源ボタンがあります。
Essential Phone のソフトウェア
OS は Android 7.1.1 Nougat で、Nexus / Pixel のように標準仕様の Android がベースとなっています。Essential 社によるカスタマイズは最小限に抑えられており、中身は非常にシンプルです。
プリインストールアプリは電話や SMS、カメラなどの標準アプリと、Google アプリに絞られており、非常にシンプルです。Essential 社独自のアプリはカメラアプリくらいなものでしょうか。このようなシンプルな端末をお望みの方に Essential Phone をおすすめします。
Nexus / Pixel のような中身なので、もちろん日本語化もバッチリです。独自のカメラアプリも日本語化されています。
Essential Phone のパフォーマンス
CPU やメモリの仕様を考慮すると、Essential Phone には高いパフォーマンスが期待されます。実際に使ってみると、通常のアプリ使用においてストレスを感じるところはなく非常に満足しています。また、使用を開始してから 2 週間ほど経過しますが、当初と今で性能が劣化するスローダウンの問題は起きていません。開封時と遜色ない滑らかさを維持しています。
Antutu スコアは 16 万点台でした。3D グラフィックスは液体のように滑らかで、X-Play のフライトシミュレーターを長時間プレイしてもフレームレートが激減することは無く安心して遊べました。性能面は期待通りと言えます。
更新:最新のファームウェアの場合、スコアは 173,735 点だったという報告もあります。S さん、情報提供ありがとうございました!
Essential Phone のデュアルカメラ
Essential Phone は背面に 2 つの 1,300 万画素カメラを装備した、いわゆるデュアルカメラの端末です。デュアルカメラは、フォーカススピードや低照度撮影時の明るさの向上、コントラストの補正など、主に撮影の補助のために使用されます。
モノクロ撮影というサブカメラを活用した機能はありますが、光学ズームや被写界深度エフェクトなどの機能はありません。
カメラアプリは iOS に近いシンプルな内容となっており、画面のスワイプでオート、モノクロ、スローモーションのモードを切り替え、上部のアイコンで HDR、動画画質(最大 4K)、タイマーなどを設定します。
サンプル写真です。
Essential Phone のバッテリー持ち
バッテリー容量は 3,040mAh と、5.7 インチスマートフォンの中では平均よりやや少ない容量ですが、意外と長持ちで驚きました。その持続性は Xperia XZ1 Compact にも匹敵するレベルで、単純に放置するだけでも 3 日はスタンバイを維持していました。使い方によってもっと短くなるとは思いますが、日中の追加充電は不要で使えると思います。
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