「DJI OSMO Mobile 2」のレビュー スマホの動画がブレれの無いプロっぽい仕上がりに
様々な高性能ドローンを発売していることで有名な DJI から今年 3 月に発売されたスマートフォン用の 3 軸電動スタビライザー(手持ちジンバル)「OSMO Mobile 2」のレビューをお届けします。
OSMO Mobile 2 は、パン軸、チルト軸、ロール軸をモーター制御で安定化させる手持ちスタイルの電動スタビライザーで、スマートフォンで撮影する動画の手ブレをほぼ無い状態にまで軽減し、スマートフォンの向きを変える動作もスムーズにします。
製品の作りは他社より発売されているものと大して変わりませんが、数多存在しているスマートフォン用の手持ちジンバルの中でも、OSMO Mobile 2 は機能が豊富で多目的に使用できるだけでなく、動作がとても安定しているので、かなり実用的です。こうした完成度の高さが他社製品と大きく異なり、買って良かったと思っています。
OSMO Mobile 2 でどのような映像が撮影できるのかは次のサンプル動画をご覧になっていただくとお分かりになるはずです。スマートフォンを手持ちで撮影している時と比べて、OSMO Mobile 2 では手ブレがほぼ生じず、様々なカメラワークの際にも滑らかにシーンが切り替わっています。
OSMO Mobile の機能は何も動画を安定化させるだけではありません。OSMO Mobile 2 では次に列挙した機能も有しています。
■ スマートフォンの画面で囲った被写体を自動で追尾させる(アクティブトラック)
■ パノラマ写真を撮影できる(通常の水平パノラマ、魚眼タイプの広角パノラマ、空間パノラマ)
■ タイムラプス、ハイパーラプス、モーションタイムラプスを撮影できる
■ 長時間露光撮影ができる
■ ライブストリーミングができる■
パノラマ写真はスマートフォンと同様に複数の写真を合成しますが、ジンバルが自動で動くので、ユーザーはシャッターボタンをたった 1 回押すだけです。後は OSMO Mobile 2 が勝手に撮影します。3 つのモードで違うのは撮影する枚数です。
OSMO Mobile 2 のパッケージングはとても簡素なもので、同梱品は本体の他に USB ケーブルとマニュアルしのみ。USN ケーブルは OSMO Mobile 2 のバッテリーでスマートフォンを充電する時に使用します。残念ながら、専用のジンバルケースは同梱していませんが、頑丈な発泡スチルールの箱に収まった状態で売られているので、それをケース代わりにすることもできます。
本体のデザインは一般的な 3 軸電動スタビライザーと同じで、スマートフォンを保持するジンバル部分とジョイスティック等のコントローラーとグリップを含むハンドル部分で構成されています。
親指で簡単に操作できるコントローラーには、上下左右のジョイスティック(大きい方のボタン)、モードボタン、シャッターボタン(小さい方のボタン)、そして OSMO Mobile 2 で追加されたズームスライダーがあります。
OSMO Mobile 2 のボディには全体に DJI ドローンのアーム部分にも似ている質感のプラスチック素材が使用されているので、手に持つと若干チープな印象を受けますが、予想以上に強度は高いので、そう簡単に割れたり壊れることはありません。
通常、OSMO Mobile 2 はハンドル部分を手で握って撮影しますが、幸いにも、専用の土台(ベース)アクセサリーが販売されており(1,500 円前後)、ベースに装着すると床や地面、テーブル等に立て、ハンズフリーで撮影することができます。
ベースはおそらく必需品になるでしょう。私も OSMO Mobile 2 と同時購入しましたし、これがあると、デスクにカメラを置いてデスク上で行っている組立等の作業内容を撮影するのにとても重宝します。また、定点観測の撮影でもカメラを一箇所に固定できます。ベースとの接続には三脚ネジが使用されているので、他の三脚でも代用できます。
OSMO Mobile 2 を使用するのに欠かせないのが「DJI Go」アプリです(DJI Go 4 ではありません)。これは OSMO Mobile 2 のカメラ機能を主に提供する他、デバイス管理、写真や動画の編集、共有、SNS サービスも一体となっており、とても高機能です。DJI ドローンをお使いの方でしたら説明の必要はないですね。
OSMO Mobile 2 の利用を開始するにはスマートフォンに「DJI Go」アプリをインストールし、OSMO Mobile 2 と Bluetooth でペアリングします。初回の使用時には OSMO Mobile 2 のアクティベーション等が必要になりますが、いずれも日本語化された画面の指示通りに作業すれば完了するので、こういった製品を初めて使用する方でも難なくセットアップできることでしょう。もちろん、DJI Go アプリはほぼ日本語化されているので、表示内容を見て困ることはほとんどありません。
冒頭で OSMO Mobile 2 が「実用的な製品」だとお伝えした理由はこの DJI Go 4 アプリの出来が素晴らしいからです。3 軸電動スタビライザーには様々な種類が存在していますが、基本的にその多くは海外モノのままで、日本語マニュアルは当然無し、アプリも日本語化されていない、アプリが頻繁にクラッシュする、最新の Android への対応が不十分等のトラブルも多く、「メーカー提供のアプリは事実上使えない」のは特に珍しいことではありません。
一方、OSMO Mobile 2 には日本語マニュアルが同梱しており、マニュアルはメーカーサイトでも入手できます。DJI Go アプリが日本語に対応していることは前に説明した通りで、アプリは最新の Android でも比較的安定して動作しています。また、以下に紹介しているようにアプリにはスマートフォンをプロ仕様のカメラに変えてしまうほど機能を豊富に取り揃えており、スマートフォンで撮影する動画のクオリティ等が向上します。
OSMO Mobile 2 の機能や詳細な使い方はマニュアルをご覧になると確認できるので、本記事ではすぐに使いはめられるように、定番の使い方をご紹介します。
OSMO Mobile 2 には持ち方によって 4 つの操作モードがあり、基本は普通に持つ「直立モード」です。アウトカメラを使用する際は大抵このモードを使用すると思います。後は、コントローラーのジョイスティックを使って上下左右に向きを変えたり、シャッターボタンを押して写真や動画の撮影を行います。OSMO Mobile 2 には「ジンバルモード」という仕組みもあり、これはジンバル(モーター部分分)の動き方を意味します。デフォルトは人の向きにジンバルが追従する「フォローモード」ですが、コントローラー上の「モードボタン」を一度押すと、ジンバルの向きは固定しつつ人が動いても同じ方向を向くようにする「フリーモード」に変わります。モードボタンは一度だけ押すと「フォローモード」と「フリーモード」が交互に入れ替わります。また、モードボタンを 2 度素早く押すとジンバルが元の位置に戻るので、向きをリセットしたい場合に使用します。
操作モードは上記の「直立モード」の他に、ハンドルを前に 90 度倒して使う「ペンライトモード」、OSMO Mobile 2 を逆さに持つ「吊り下げモード」、スマートフォンを縦向きにする「ポートレートモード」もあり、撮影する映像の構図等に応じて使い分けるとよいでしょう。
OSMO Mobile 2 で特に便利なのが「アクティブトラック」です。これはドラッグして囲った被写体をジンバルが追尾するよう自動的に動く機能です。例えば、広場で走り回るペットを追尾撮影したい時にはアクティブトラックを利用すると楽です。アクティブトラックはインカメラでも利用できるので、外を散策している様子を自撮りする時にはカメラの向きを気にすることなく安定した映像を撮影できます。
別の便利機能はパノラマモードです。パノラマモードでは、OSMO Mobile 2 がスマートフォンの角度と向きを自動的に変えながら撮影するのでとても楽ですし、仕上がりも綺麗です。
OSMO Mobile 2 には上記のような撮影モードの他に、写真や動画の解像度設定やホワイトバランス調整、グリッド表示等のカメラアプリで一般的なオプション機能の他、明るさを上げてシワを飛ばしたり、肌をより明るく見せる「ビューティーモード」、Facebook や YouTube で映像をライブストリーミングする機能等もあります。
OSMO Mobile 2 は定価 16,800 円と 3 軸電動スタビライザーの中では安い方で、しかも、これまで紹介したきたように多機能で動作も安定しています。この手の製品をお探しの方には良い選択肢の一つになると思います。
メーカーによると、OSMO Mobile 2 は 6 インチまでのスマートフォンに対応しています。スマートフォンのホルダー部分はスライド式となっており、スマートフォンのサイズに合わせてその位置を変えることでバランスが取れて水平になります。あまり大きな機種だとバランスを取れなくなり、水平位置を保てませんが、手元の ZenFone 5 ZE620KL(6.2 インチ)は大丈夫でした(ギリギリでしたけど)。そのため、6 インチを超える端末でも ZenFone 5 ZE620KL 程度までなら何とか持ちこたえると思います。
肝心なことを忘れるところでした。OSMO Mobile 2 には新機能としてズームスライダーが付き、DJI Go 4 アプリのカメラビューで被写体をデジタルズームさせることができます(ピンチズームも可能です)。しかし単にズームするのではなく、DJI ドローンのジンバルにバッファーが設けられているのと同じように、最初はゆっくりと少しだけズームし、その後は加速していく動きとなっています。これで滑らかでプロっぽいカメラワークが可能ということです。
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