「HOYA MW10 HiKARI」の9ヶ月使用レビュー

投稿日時 3月 13th, 2019 by juggly 投稿カテゴリ » Androidニュース, ブログ
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夜盲症の人のための暗所視支援メガネ「HOYA MW10 HiKARI」を購入して 9 ヶ月が経過し、MW10 に対する私の評価が購入直後の時から少し変わってきたこともあり、本記事で改めて MW10 の再レビューをお送りしたいと思います。

MW10 をご存知じゃない方の為に簡単にこの製品をご紹介しますと、MW10 は超高感度カメラで捉えた映像にリアルタイムの画像処理を施して目の前のスクリーン(プロジェクター型)に投映するメガネ型デバイスです。MW10 の映像はとても周囲を明るく映すので、肉眼の時よりも周囲が明るく見えます。

MW10 は所謂「ウェラブルデバイス」になりますが、動画を視聴したり、Android アプリを実行する等のエンタメ系機能は一切無く、ただカメラの映像を見るだけとなります。イメージが掴みやすいように例を挙げると、MW10 は Android のホームアプリがカメラアプリのプレビュー画面に設定されているようなものです。

MW10 は夜盲症の人を補助するデバイスですが、一括りに「夜盲症」といっても夜や暗い場所での見え方には個人差があります。基本的には明かりが一切点いていない部屋や倉庫、夜間の屋外では視力が「ありえない!」と思うほどガクンと下がり周囲の物が見づらく、ゆっくりじっくりと周りを確認しながら移動するか、懐中電灯等の補助照明を使用しないと作業がしづらかったりします。今述べたのは典型的な夜盲症の見え方だと言えますが、もちろん夜盲症だけど自動車の運転も難なくこなせる人もいますし、そこそこ明るい場所でも物が殆ど見えない人もいます。

今回改めて MW10 のレビューをお送りするわけですが、そうは言っても私の MW10 に対する基本的な評価は今でも昨年公開した最初のレビュー記事の内容とそう違いはありません。しかし、長期間使用することで分かってきた効果もあり、本記事ではそういう部分を中心に乾燥を紹介します。

何よりもお伝えしたいことは、「MW10 の視界が少しずつ自分のモノになっていき、何気ない歩行や作業の正確さや安定感が向上していく」ことです。正直言って MW10 購入直後にこのことには全く気づいていませんでした。

例えば、肉眼だと殆ど真っ暗で照明の当たっている部分が少しだけ見えている私の視界が、MW10 を使用することで次の写真のように全体が大体見えるようになり、この見え方が今では私の中で常態化しています。

MW10 を日々使用することで、写真のような見え方が当たり前になり、目の「慣れ」もあって周辺や障害物の認識速度が向上した結果、購入直後の時よりも暗所で身動きがとりやすくなった気がしています。これが本当の意味での「慣れ」なんだろうと結論付けています。

MW10 を購入した直後の私の行動には、自分でもおぼつかないと思う感覚はありましたが、購入してからほぼ毎日 MW10 を使用していると、MW10 の視界が自分の視界に定着し、ただ夜道を歩行するにしても昼間を同じようにスタスタと歩けるようになっていましたし、周辺の障害物なども歩行を一旦止め、障害物をしばらく凝視することなく認識できるようになりました。

今お話した内容は 100% 私の主観にしか過ぎませんので、全てのユーザーに当てはまるような効果ではありません。また、MW10 のスペックがどうのこうのという話でもありません。しかし、これだけははっきりと言えます。私と同じ見え方の人に限れば、半年 ~ 1 年という長期間の使用を経ることで、更に MW10 に慣れる可能性がありますので、どこかの体験会で試したり、評価機を借りてきて数日テストしたくらいでは MW10 を語ることは出来ないと思います。

新発見は今の「慣れ」に関する事の他にも、MW10 では風景を 2D 映像として見る為、肉眼の時よりも風景が見やすいと感じることもありました。

私はヤフオクドームのホークス戦で MW10 を使用したことがあります。裸眼ではボールを 9 割がた見失うので、ドームに行っても正直なところ野球観戦どころではありません。そこで MW10 を使用すると、その割合が 5 割り程度にまで改善しました。

たぶんこれは「網膜色素変性症」患者さんの中では「あるある」かもしれませんが、肉眼で見るよりもスマホのカメラで写真や動画に撮り、それを見た方が見やすいことがあります。それが MW10 にも当てはまり、それ故、野球観戦でボールを見失う率が低下したのだと考えています。

もう一つ。これも 100% 私に限ったお話になりますが、MW10 を使用し終えると、その後しばらくは MW10 をしていない裸眼の視界が若干改善されたきがしています。なんと言いますか、一時的にでも視界が少しクリアになった感覚になるのです。ただ、この状態はずっと続くものではありません。一眠りすればまた元に戻ります。

科学的・医学的な根拠を示すことはできませんが、たぶんこう感じるのは、MW10 を使用することで眼のピントを合わせる位置が近距離になる為、まるでアイトレーニングをしたことになった結果ではないかと推測しています。いずれにせよこれも MW10 のスペックとは無関係なことなので、あくまでもいちユーザーの体験談として捉えていただければ良いです。