Sonyの「サイバーショット DSC-RX100M6」のレビュー

投稿日時 11月 24th, 2018 by juggly 投稿カテゴリ » Androidニュース, ピックアップ記事, ブログ
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今年の 6 月に Sony から発売された 1 型イメージセンサーを搭載するコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット RX100VI(DSC-RX100M6)」を入手したので(少し前のことですが)、この機種のレビューをお送りします。

私は以前から RX100M2 を使用しており、今回、約、4 年ぶりに RX100M6 に乗り換えました。M3~M5 は購入していないので新旧モデルを比較をすることはできませんが、「普段遣いのコンデジ」としてこのカメラを使用してどのように感じたのかをお伝えできればと思っています。

私はコンデジを「外出時のお供」として日常的に使用しており、このような用途であれば携帯性に優れ、さらに画質も良い RX100 シリーズは最良の選択肢の一つだと考えています。

RX100M6 は 1.0 型 2,010 万画素の Exmor RS CMOS センサー、35mm 判換算で 24~ 200mm の高倍率ズームレンズ(ZEISS バリオ・ゾナーT)、最短 0.05 秒のファストハイブリッド AF、4K HDR や 4K S-Log 動画撮影、XAVC S フォーマットでの映像記録、480 / 960fps のスーパースローモーション動画撮影、最高秒間 24 コマの高速連写機能等々、Sony の最新 Xperia にも搭載されている機能の殆どにもしっかりと対応しており、画質面のみならず機能面においてもコンデジの中ではかなり優秀な一台です。

RX100M6 はコンデジの中でもハイエンドモデルということもあり、価格は約 14 万円とかなり高価ではありますが、デジタル一眼レフまたはミラーレスのエントリー機 + レンズ 2 本(標準 + 中望遠レンズ)で 10 万は軽く超えますし、4K@30fps 撮影や 960fps 撮影、秒間 24 コア連写といった部分は上記のエントリー機ではほぼ対応しておらず、また、これらの機能を有しながらも手軽に持ち運べるサイズを考慮すると、RX100M6 の価格は、まぁ妥当なんじゃないかと考えています。私はそのように割り切っています。

RX100M6 のボディはかなりコンパクトです。質量は 302g とスマホの約 2 台分。小ぶりのコンデジではありますが、携帯性を売りにしたものと比較すれば、厚みがあるためズボンのポケットには収まらない、もし収まったとしても突っ張って違和感を感じる、こんなサイズ感でした、上着のポケットだと余裕で収まりますが、少し重さが気になるところです。スマホ 2 台をポケットに入れると違和感ありますよね。それと同じ感覚です。

余談になりますが、私は RX100M6 に社外品のグリップ付き L 型プレートを装着しており、α6000 系のような持ち味で使っています。また、もともと持っていた Mavic Pro の送信機用ポーチに収納して普段は持ち歩いています。

背面には 3.0 型のタッチパネル液晶が搭載されており、タッチでの AF 操作やタッチシャッター、閲覧している記録画像の拡大やドラッグ操作といったことができます。キヤノンカメラのように画面タッチで機能やメニュー画面を選択することはできないようです。フルタッチではないということです。

ボディには他にもポップアップタイプのフラッシュと電子ビューファインダーが搭載されており、デジタル一眼レフのように構えて写真や動画を撮影できます。電子ビューファインダーはかなり小さいのですが、モニタの明るさを最高にすると、とても見やすいので、晴天時にメインモニタが見づらいという場合に電子ビューファインダーは役立ちます。

ボディ背面のコントロールパネルについて。デジタル一眼レフやミラーレスと比較すればとても簡素な作りですが、露出の変更にコントロールリングとコントロールホイールが使用できることもあり、コンデジの中ではマニュアル撮影はしやすいと思います。コントロールリングについては割り当てをカスタマイズできるので主に露出の設定変更は楽です。

ここからは RX100M6 の中身に入っていきます。

何はともあれ、まず触れたいのは 24 ~ 200mm をカバーする高倍率ズーム機能です。広角側では手元の物撮りから草花の接写等が可能で、広角端付近(24~30mm)の焦点距離であれば F2.8 で撮影できます。この時、背景はそこそこボケます。次の写真は 200mm 時の鏡筒の形状です。結構長くなるので接触に注意ですね。

200mm までズームすると、例えばヤフオクドームならスタンドから選手たちの顔が分かる程度にまで被写体を拡大でき、一般的なコンデジの撮影範囲を超えて様々な用途で被写体を大きく捉えることができます。

▲ 換算 24mm(レンズ焦点距離は9mm)

▲ 換算 200mm(レンズ焦点距離は72mm)

RX100M6 の光学ズームは 200mm までですが、「全解像度ズーム」と「デジタルズーム」を搭載しており、これらを有効にすれば 200mm を超えて拡大できます。でもデジタル方式のズームなので写真や動画の画質は悪くなります。それでも、画質はそこそこ見られる程度の品質を維持するので実用的だと思います。次の写真は「デジタルズーム」を使って月面を最大に拡大した時のものです(少しもクロップしていません)。たぶんこの大きさはデジタル一眼レフだと 400mm といった望遠レンズを使用しないと撮影できないでしょう。

また、どのズーム域でも手ブレ補正(スタンダード、アクティブ、インテリジェントアクティブ)が利くので、たとえ望遠端に近い画角で撮影しても、あまり手ブレしないのでしっかりと被写体を捉えることができます。。

200mm というと、長くて重たい望遠レンズを使って飛行機や野鳥等を撮影している方にとっては短く、恐らく物足りないと感じるかもしれませんが、私のように「お出かけ時のお供」として RX100M6 を使用するくらいの用途であれば 200mm の焦点距離は十分過ぎます(コンデジで望遠撮影しようと言うなら話は別ですけど・・・)。コンデジを使ってズームする時というのは、「もう少し寄りたい」場合が殆どでしょうから、RX100M6 の 200mm は「余裕で寄れる」画角ではないかと見ています。

次は写真の画質です。RX100M6 のイメージセンサーはスマホや安いコンデジでよく使用されている 1/2.3 型よりも大きな 1 型です。また、レンズも良質なので物理的な面で画質がスマホや安いコンデジより優れていることは言うまでもありません。焦点距離によっては背景も普通にぼけますし、画質はどちらかというと APS-C 機に近い仕上がりになります。

写真の色合いや雰囲気は露出やクリエイティブフィルター、ピクチャースタイル、ピクチャープロファイル、または、RAW 現像という方法でどうにでもなることですので、一概に評価を下すことはできませんが、何も考えずに適当に撮影したとしてもなかなか透明感のある仕上がりで、細部までしっかりとピントが当たっている感じでした。撮って出しの JPEG でもそのまま使えそうな画質です。

RX100M6 のレンズは前作(RX100M5)より望遠が利くようになりましたが、その反面、レンズが若干暗くなっています。そのため、前作に比べると夜の撮影では光を取り込む量が少なくなったり、シャッタースピードを稼げなかったり、背景がボケづらくなるというデメリットもあります。暗所では少し暗いかな〜という印象でしたが、露出を眺めにとる等の工夫である程度は解決できると思います。

「ファストハイブリッド AF」は RX100M6 から導入され始めた新しい高速オートフォーカス機能です。どのくらい速いのかというと・・・、距離を変えて配置した複数の被写体に繰り返しピントを当てるテストをしたところ、どの被写体もピントはシャッターボタンを半押しすると直ちに当たり、私がテストした中だと、カメラが AF で迷うこともなく、AF 時間が最短 0.05 秒というのは、まんざら嘘でもないと実感しました。AF 駆動にかかる時間は、たとえ EOS R + USM レンズであってもそれに勝るものでした。

AF が利く最短の撮影距離は 8cm と短く、広角端付近では被写体に相当寄れます。次の写真は広角端で AF が利く最短の距離までカメラを寄せた時のものです。もちろん広角端からズームしていくとピントが当たる距離も伸びます。ちなみに 35mm 換算 70mm 前後の画角でピントの当たる最短距離が切り替わるようでした。

私は頻繁に連写しているので、RX100M6 の秒間 24 コマという連写機能(電子シャッター時のみですが・・・)はとても魅了的です。野球の試合だとピッチャーが球をリリースしてキャッチャーのミットに収まるまでに 22 コマを撮影することができました。連写性能に優れたデジタル一眼レフやミラーレスでもこのコマ数を上回るものは少ないでしょう(もちろん画質面の話は別です)。

RX100M6 の連写性能というのは、簡単に緻密に作られたパラパラ漫画を写真で作成できてしまうほどです。メカシャッターに設定すると連写コマ数は秒間 10 コマに減りますが、それでもかなり速いです。また、連写をするとカメラのギャラリーが似た写真で埋め尽くされると思いきや、RX100M6 には一回の連写をフォルダーにまとめて管理するので、このようなことは起きません。ただ、シャッターボタンの作りが柔らかいためか、ドライブモードを連写に設定している時に一枚だけ撮影しようとしても、誤って連写してしまうことがあり、これは少し不便です。

次は動画についての感想です。

実は私、そもそも RX100M6 を動画撮影用にと思い購入し、写真よりもむしろ動画機能に注目していました。ある程度情報を仕入れた上で購入したのですが、購入後に Sony の公式サイトや製品マニュアルを一通り読み、製品について詳しく知ると、RX100M6 は趣味の動画撮影から本格的な映像制作の素材撮りまで幅広い用途で使えるカメラだと実感し、購入してホント良かったと思っています。

RX100M6 の売りは、全画素読み出しによる高解像の 4K 動画を撮影できる点で、4K 動画で必要となる画素数の 1.7 倍の画素から情報を読み出すため比較的画質が良い点です。もちろん特徴はこれだけではありません。

まず、RX100M6 が対応している動画記録サイズは、4K、フル HD(1080p)、HD(720p)のみですが、4K は 30fps 記録にもしっかりと対応しており、AVCHD よりも情報量の多い XAVC S フォーマットでの記録に対応しているため、60 / 100Mbps という高いビットレートで記録することができます。スマホの 4K 動画がせいぜい 50Mbps なので 1 型イメージセンサー + 2 倍のビットレートにより、映像画質はスマホ動画をはるかに上回ると言えます。

しかし 4K 動画の撮影には色々と制限があります。4K 動画を撮影中はカメラに相当の負荷がかかるので、撮影を開始するとすぐに本体が熱を持ち始め、一定の温度に達するとモニタの明るさが落とされ、5 分前後で本体保護のために録画が強制的に停止される場合があります。つまり 4K での連続撮影はせいぜい 5 分しかできず、モニタの輝度が下げられるっことは頻繁に起きるので、屋外撮影では、画面が見づらくて困ることもあります。短めのカットを撮影する用途ならこうした現象には遭遇しないと思いますが、例えばイベントの様子をずっと 4K で撮影するような使い方には向いていません。解像度をフル HD に落とせばこうした問題はほぼ起きないので、長時間撮影をしても大丈夫です。

動画画質については、HLG ガンマ特性による HDR 撮影や Sony 独自のハイダイナミックレジ対応ガンマ特性 S-Log での撮影に対応していることや、映像の雰囲気を自分好みに調整できる「ピクチャープロファイル」機能を搭載している点にも触れなければなりません。

RX100M6 は最大 4K で HDR 動画を撮影できますが、MENU に「HDR」という選択肢はありません。HDR 動画を撮影するには、ピクチャープロファイル画面で「PP10」を選択します。HLG は HDR 規格の一つで、HDR で撮影した動画を視聴するには HLGに対応したテレビが必要になります。

S-Log は映像編集の LUT 当てに適した Sony 独自のガンマ特性です。HLG のようにハイダイナミックレンジのガンマ特性を持ちますが、HLG とは少し色合いが異なります。

上記の HLG や S-Log は、「ピクチャープロファイル」のプリセットを選択すると適用できます。そのため、ピクチャープロファイルは RX100M6 をフルに活用するなら欠かせない機能です。ピクチャープロファイルというのは、画像の発色や階調の組み合わせを設定できる機能のことで、基本的には動画で使用します。RX100M6 には予め 10 種類のピクチャープロファイルプリセットが用意されており、この中の「PP7」〜「PP9」は S-Log 撮影、「PP10」は HDR(HLG)用のプリセットとなっています。

ピクチャープロファイルのプリセットはカスタマイズできます。具体的には、「ブラックレベル」、「ガンマ」、「ブラックガンマ」、「ニー」、「カラーモード」、「彩度」、「色相」、「色の深さ」、「ディテール」を個別に選択または調節することができます。つまり、ピクチャープロファイルを使えばある程度の範囲内で映像の雰囲気をどうにでもできます。「PPXX」(X は数字)というのはこれらのパラメータを組み合わせたものに過ぎず、もし HDR 動画の雰囲気を変えたいなら「PP10」のパラメータを弄ればよいわけです。

上記の他にも、RX100M6 は手ブレ補正機能(スタンダード、アクティブ、インテリジェントアクティブ)、パワーズーム、コントロールリング操作によるクイックまたはステップズーム、撮影中のフレーミングに役立つマーカーおよびガイドフレームの表示にも対応しています。

手ブレは少ないですし、ズームも滑らか、撮影中は被写体が画面からはみ出ず、それでいて大きく撮影する、このようなことが RX100M6 では可能です。特に、マーカーはステージの撮影でとても重宝しています。

次の動画 3 本は全て RX100M6 で撮影したものです。色と手ブレ補正を少し加えていますが、まぁ殆ど弄っていません。撮影モードは「プログラムオート」(P モード)、解像度はフル HD(1080p@60fps 50Mbps)、ピクチャープロファイルは「切」に設定しています。

私は元来キヤノンユーザーなので、少し偏った、あるいは間違った見方をしてしまうかもしれませんが、RX100M6 の映像は結構現実に近い明るさ、そして若干 ビビッドな色合いで発色が良いという印象を受けました。もちろん露出の設定やピクチャープロファイルの選択内容によって画質や雰囲気は変わります。RX100M6 を使って様々な動画を撮影してみましたが、やっぱり私は EOS ムービーの雰囲気や質感が好きですね。

RX100M6 は最新の Xperia と同様に、最高 960fps のスーパースローモーション動画を撮影することができます。モードダイヤルを「ハイフレームレード(HFR)」に変更すると事前に設定されたフレームレート(240 / 480 / 960fps)でスロー動画を撮影できます。

ただ、ハイフレームレートモードの撮影画面は通常の動画モードとは異なり、「スタンバイ」→「決定」という面倒な操作フローとなっており、しかも、一度撮影を終えると映像の処理に 1 分ほどかかるため、連続してのスーパースローモーション撮影はできません。それなら通常モードで撮影できる 120fps で動画を撮影したほうがシャッターチャンスを逃さずに済むかなと思います。

個人的におすすめの機能が「デュアル記録」です。これは動画撮影中に静止画も撮影できる機能となっており、4K 動画を撮影しながらでも シャッターボタンを押すだけでその時の構図で 1,700 万画素の静止画を作ることができます。一眼動画だとデュアル記録に対応していない場合が多いのでこれは魅力的です。

動画撮影において一つ難点があります。それは F 値が F11 までしか絞れない点です。室内撮影であればあまり絞ることがないので問題にならないのですが、晴天時昼間の屋外撮影で露出を「シャッタースピード 1/125 ~ 1/200 秒、F11、ISO125(動画モードの最低 ISO 値)」にすると、露出オーバーとなることがあって注意しなければなりません。

もちろん、シャッタースピードをもっと短くすれば露出オーバーは回避できますが、それだと動画撮影のセオリーに反する露出になるので、最悪の場合を除いてシャッタースピードは 1/125 ~ 1/200 秒に収めたいものです。そうした要望からすると F11 は少し辛いかなと思う次第です。

ちなみに RX100M6 は ND フィルターは付かないようなので、晴天時昼間の屋外撮影に限っては少しトレーニングする必要がありそうです。

RX100M6 の一番の難点はバッテリーの持ちが短いことです。これは仕様を見ても明らかなので欠陥とか設計ミスとかではありませんが、例えば、野球観戦の時には確実に途中でバッテリー切れが発生するので、私が RX100M6 を持ち出す時には必ず予備も持っていきます。また、もう既に予備バッテリーは 3 も追加購入しています。それくらいバッテリーの持ちには不安を抱えています。

RX100M6 には弱点も多々ありますが、写真や動画の画質、ズーム、連写等の主な機能においては私の期待以上の性能を発揮してくれていたので、実用性においては余裕で合格だと思っています。